愛犬がドッグフードを吐いてしまった際、すぐに病院を受診させるべきか、少し様子を見るべきか、飼い主として迷ってしまうことも多いのではないでしょうか?
そこでここでは、犬がドッグフードを吐く主な原因や対策方法、注意が必要な吐き方などを紹介していきますので是非参考にしてみてください。
ただし、ここで紹介している情報はあくまで一例に過ぎません。
犬がドッグフードを吐く3つのパターン
犬がドッグフードを吐くパターンは、3つに分類できます。
未消化のドッグフードを吐く「吐出」
吐いたものが消化されていない場合、一般的に嘔吐ではなく「吐出」と呼びます。
食べたものが胃腸に到達する前に口から逆流してしまうのが、吐出です。
消化される前に起きる吐出は、多くの場合、胃腸ではなく食道の異常に由来しています。
前に飛ばすように力強く吐き出すことが多いのも、吐出の特徴です。
消化したドッグフードを吐く「嘔吐」
吐いたものがある程度消化されている場合、症状としては「嘔吐」に分類されます。
嘔吐の場合、食べ物は胃や小腸にまで達したものの、何らかの異常が原因で外へ吐き出されています。
そのため、嘔吐の症状が見られた場合、胃腸に異常がある可能性が高いと判断できます。
そのままのドッグフードを吐く「嚥下障害」
嚥下障害が原因で、ドッグフードを吐くこともあります。
食べ物を飲み込むことを意味する嚥下がうまくできない、要は、上手に飲み込めず吐いてしまっている状態が、嚥下障害です。
この場合、原因は口の中や咽頭、食道にあります。
嚥下障害によって餌や唾液、細菌などが肺に入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクがある点には注意が必要です。
犬がドッグフードを吐く原因と対策
犬がドッグフードを吐いてしまう主な原因としては、
- 食べ過ぎや早食い
- 新しいドッグフードに変えた
- 喉に詰まった
- ストレスが原因
- 異物を飲み込んでしまった
- 食物アレルギーがある
- 寄生虫やウイルスが原因
- 草を食べて吐く
- 中毒症状
- 何かしらの疾患がある
以上が考えられます。
以下に、吐く原因それぞれの詳細と対策方法をまとめました。
食べ過ぎや早食い
食べ過ぎや早食いが原因で、吐くことがあります。
犬が吐く原因で最も多いのは、この食べ過ぎや早食いです。
胃の収縮運動が追い付かず吐いているだけなことが多く、その場合、身体に異常があるわけではありません。
一度に与えるフードの量を調整する
すぐ食べ過ぎてしまう子は、一度に与える餌の量を少なくしてみてください。
餌を小分けにしてあげると、同じ量でも満足感を得やすく、愛犬にストレスを与えることなく食べ過ぎを防止できます。
早食い対策には、フードボウルの活用がおすすめです。
新しいドッグフードに変えた
ドッグフードを変えたことが原因で、吐いてしまうこともあります。
デリケートな子の場合には、フードを急に変えただけで胃腸のトラブルを引き起こし、吐いてしまうこともあります。
徐々に新しいドッグフードへ切り替える
新しいドッグフードへの切り替えは、時間をかけて行いましょう。
これまであげていたフードに少しずつ新しいフードを混ぜる割合を増やしていきましょう。目安としては7~10日かけて切り替えるのがおすすめです。
愛犬の反応によっては、より時間をかけても構いません。
また、ドッグフードを切り替える前に、かかりつけ医に相談しておくとより安心です。
ドッグフードが喉に詰まった
食べたものが喉に詰まった場合、詰まったものをなんとか吐き出そうとします。
この場合吐き出せれば安心ですが、愛犬が窒息しかけているようなら、すぐに応急処置を行いましょう。
ドッグフードの粒の大きさや形状を検討する
食べて喉に詰まるリスクがあるものを近くに置くのをやめましょう。
また、ドッグフードの粒のサイズが愛犬に合っているかどうかも、必ず確認すべき項目です。
ストレスが原因
ストレスも犬が吐く原因になります。
人と同じように犬も、ストレスが溜まると自律神経のバランスが乱れがちになります。
その結果、胃液が過剰に分泌されて吐いてしまうことがあります。
ストレスの原因を特定する
愛犬のストレスに心当たりがあるなら、すぐに原因を取り除いてあげましょう。
ストレスを感じやすいケースとしては、運動不足や不衛生な飼育環境、長時間の留守番などがあります。
また、苦手な人や犬猫が近くにいるのも大きなストレスになります。
異物を飲み込んでしまった
好奇心旺盛なワンちゃんは、食べ物でないものを口にしてしまうことがよくあります。
この場合、異物を体外に出すために吐きます。
飲み込みやすい異物としては、おもちゃやタバコ、除草剤や農薬のついた草、毛玉などがあります。
異物を飲み込んだ場合、吐き出したことが確認できたとしても、一度動物病院に相談するのがおすすめです。
犬が飲み込みそうなものを近くに置かない
誤飲誤食しやすいものを、愛犬の近くに置かないのが最も有用な対策方法です。
家の中に誤食しやすいものがないか、犬目線で確認してみてください。
食物アレルギーがある
食物アレルギーの症状のひとつとして、食べ物を吐いてしまうことがあります。
これは食べたものに含まれる特定の成分に反応して現れる症状です。
食物アレルギーが原因の場合、吐く以外の不調が体に現れていることが多いのも特徴です。
目やにが増えたり涙やけや皮膚のかゆみ、湿疹がひどい、下痢などの症状が見られませんか。
吐く以外にそれら症状が見られた場合、食物アレルギーが原因かもしれません。
アレルゲンを避けた食事をさせる
原材料の種類が少ないドッグフードや手作りフードを活用して愛犬のアレルゲンを探り、アレルゲンを避けた食事をあげるのが有用な対策法です。
合わせて、動物病院でアレルギー検査を受けるのもおすすめです。
ただ、検査したからといってアレルゲンを特定できるとは限らず、検査はあくまで補助的なものです。
寄生虫やウイルスが原因
犬は、寄生虫やウイルスに感染して吐くことがあります。
増殖した寄生虫やウイルスが胃腸内で炎症を起こしていることが原因です。
この場合嘔吐を繰り返し、下痢や血便、体重減少などの嘔吐以外の症状も同時に現れることが多いのも特徴です。
嘔吐を引き起こすウイルス感染症としては、パルボウイルス、ジステンパーウイルス、新型コロナウイルス、アデノウイルス1型などがあります。
また、犬回虫やジアルジアなどの寄生虫感染症にも注意が必要です。
寄生虫やウイルスに感染しているようなら病院を受診
寄生虫やウイルスに感染してしまうということは、免疫機能が低下しているサインです。
栄養バランスの良いフードを与え、腸内環境を整えてあげたり、適度な運動やストレスの少ない生活を心がけてあげましょう。
草を食べて吐く
散歩中や庭で草を食べて吐く犬は、とても多いです。
これは、お腹の調子が良くない時に胃に残った余分な胃酸や食べ物を、外に吐き出すためにしている行動です。
身体に不要なものを吐き出しているだけなので、単なる生理現象なので、そこまで心配する必要はありません。
消化しやすいドッグフードを検討する
しょっちゅう草を食べて吐いているのは、お腹の調子が悪い証拠です。
消化しやすいお腹に優しいフードに切り替えてあげましょう。
また、道端の草には除草剤などがまかれている可能性があるので、むやみに食べるのは危険です。
中毒症状
人にとって美味しくても、犬にとって危険になる食べ物はたくさんあります。
ネギ類やユリ科の植物、ブドウ、キシリトールなどを口にすると、犬は中毒症状を起こし、吐いてしまうことがあります。
中毒性のあるものを体内に入れてしまった場合、激しい嘔吐のほか、下痢やよだれを垂らす、けいれんなどの症状が現れることが多いです。
犬にとって有害な食べ物を近くに置かない
犬にとって有害な食べ物をあげないことが、中毒症状を防ぐ一番有用な対策方法です。
手作りフードを作るときには、事前にあげて大丈夫な食材かどうかを逐一確認するのがおすすめです。
何かしらの疾患がある
疾患が原因で吐いている可能性もあります。
胃や腸などの消化器官の病気はもちろん、急性腎不全や急性膵炎、肝炎、尿毒症、腹部の腫瘍や悪性リンパ腫、熱中症など、さまざまな病気の症状が原因となって吐くことがあります。
病院を受診する
日ごろから健康を意識した生活を送ることが、病気の予防には一番効果的です。
適度な運動と栄養バランスの良い食事を与え、しっかり眠れる環境を愛犬に提供してあげましょう。
人同様、定期的に健康診断を受けるのもおすすめです。
犬がドッグフードを吐いたときのチェック項目
愛犬がドッグフードを吐いてしまったら、
- 嘔吐物(おうとぶつ)の色
- ドッグフードを食べてから吐くまでの時間
- うんちみたいな嘔吐物ではないか(糞の匂いなど)
を必ず確認しましょう。
以下でチェック項目3つの詳細を解説しています。
嘔吐物(おうとぶつ)の色
嘔吐物の色からも、さまざまな情報がわかります。
白色、黄色、緑色
無臭の透明な白い泡を吐き出した場合、胃液や唾液が逆流したものである可能性が高いです。
また、胆汁が混じった胃液が逆流したものは、黄色や緑色をしています。
いずれもストレスや極端な空腹を原因としたもので、吐いた後元気で食欲がある場合、そこまで気にする必要はありません。
赤色や茶色
嘔吐物が赤や茶色の場合、血が混じっている、要は吐血している可能性があります。
原因を特定し治療をしてもらうためにも、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
黒色
血が混じっている嘔吐物は、黒くなることもあります。
嘔吐物が黒色の場合、粘膜の出血である可能性があります。
ドッグフードを食べてから吐くまでの時間
ドッグフードを食べてから吐いてしまうまでの時間も、チェックすべき項目です。
毎食1~2時間後に吐く場合、食道や消化管に何か異常をきたしている可能性があります。
また、時間が経っても未消化物を吐いている場合、消化器官の運動の低下や閉塞などが考えられます。
愛犬が吐いてしまったときには、色や時間などの詳細をメモしておくのがおすすめです。
うんちみたいな嘔吐物ではないか(糞の匂いなど)
うんちのようなものを吐いている場合、「吐糞症」の可能性があります。
胃を通過して小腸に進んだ消化物がそれ以上進めず、逆流する病気です。
腸閉塞が原因であることが多く、命にかかわる注意が必要な症状です。
すぐに動物病院で検査してもらいましょう。
子犬や老犬がドッグフードを吐く場合は?
飲み込むのが苦手な子犬や老犬は、「嚥下障害」で吐くことが多いです。
食事中に咳き込んでいたり食べにくそうにしていた場合、嚥下障害を疑うべきです。
ドッグフードを噛まずに丸呑みして吐いてしまうなら「ふやかす」ことも検討する
ドッグフードを噛まずに丸呑みして吐いている場合、いつものフードを水やぬるま湯でふやかしてみるのがおすすめです。
ふやかすだけで一気食いを防げるうえに、消化もしやすくなります。
ドッグフードを吐いた後、どのくらい経ってから餌を与えればいい?
吐いた後の2~3時間は水やおやつを含めて、食べ物をあげるのは控えましょう。
特に嘔吐した場合、その直後に消化器官に刺激のかかる飲食は厳禁です。
また、いずれの吐き方をした場合についても、吐いた後はいつもより少量ずつ餌をあげるようにしてください。
ドッグフードを吐く以外にこんな症状がないかも確認
繰り返し吐いたり吐く以外の症状が同時に見られた場合、必ず動物病院で診てもらいましょう。
動物病院での治療が必要です。
犬が吐いて動物病院を受診する際に把握しておきたいこと
動物病院を受診する前に以下5点を整理しておきましょう。
- 給餌後どのくらい経って吐いたか
- 回数や間隔
- 嘔吐物の状態
- 吐く前後の様子
- 排便の様子
吐く原因を探り対策を施すうえで、どれも欠かせない情報です。
そのほかにも気になる点がある場合には、医師に全て伝えましょう。
よくある質問
犬がドッグフードを吐いてしまったら冷静に状況を判断することが大切
愛犬が吐いてしまったら、心配で動物病院に行きたくなる飼い主も多いことでしょう。
ただ、吐いたからと言って必ずしも深刻なケースとは限りません。
吐き方や嘔吐物を確認し、冷静に状況を判断することが大切です。
一方で、症状がひどい、あるいはいつもと様子が違う場合、迷う必要はありません。
早期発見・早期治療は命を救います。すぐに動物病院で診てもらいましょう。