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危険?ドッグフードの添加物一覧と安全性!犬に与える影響は?

ドッグフードの添加物

ドッグフード選びの際に不安要素の1つとして挙げられるのが添加物の安全性についてです。

添加物の入ったドッグフードは健康に悪い?
種類が多すぎて添加物の意味がわからない
愛犬のためにはどんな風にドッグフードを選ぶべき?
添加物について意識することはドッグフード選びにおいて非常に重要ですが、だからといって過剰に添加物を恐れてしまうと逆に正しいフード選びの妨げともなります。

この記事は、実際に様々なメーカーのドッグフード開発をしている専門家にご協力いただき、なぜドッグフードに添加物が使われているのかを解説するとともに、主な添加物の成分と役割添加物の安全性を見極める方法などについて詳しく解説していきます。

ドッグフードの添加物について知りたい方は、獣医師や専門機関への相談を合わせた上で本記事を参考にしてください。
この記事の監修者
望月紗貴
望月紗貴

一般社団法人愛玩動健康管理協会(代表理事)
望月紗貴
一般社団法人愛玩動健康管理協会 代表理事。ペットフードの委託開発、ペット用品開発(監修)ペット関連事業者のコンサルタント、ペット関連教材作成など、幅広く活躍。動物たちのQOL(生活の質)の向上を目標に動物保護活動にも力を入れている。

認定資格・所属学会

認定資格

  • 犬の管理栄養士(全日本動物専門教育協会)
  • 犬の管理栄養士/アドバンス(全日本動物専門教育協会)
  • 愛玩動物救命士(全日本動物専門教育協会)
  • 犬猫行動アナリスト(全日本動物専門教育協会)
  • ペット看護士資格(一般財団法人日本能力開発推進協会)
  • ペット看護士資格(日本キャリア教育技能検定協会)マスターライセンス
  • ペット介護士(日本キャリア教育技能検定協会)マスターライセンス
  • ペットセラピスト資格(一般財団法人日本能力開発推進協会)
  • ドッグトレーニングアドバイザー(一般社団法人日本ペット技能検定協会)
  • ドッグヘルスアドバイザー(一般社団法人日本ペット技能検定協会)

もくじ

ドッグフードに添加物が必要とされる理由とは?

ドッグフードに添加物が必要とされる理由は以下の通りです。

  • フードの味と栄養価を均一に保つため
  • 食材原材料の栄養素だけでは補えない栄養を付加するため
  • 時間経過によるフードの劣化・変質を防ぐため
  • 見た目の色や形を整え消費者(飼い主)に安心感を与えるため

上記の理由のうち、もっとも重要なのは「食材原材料の栄養素だけでは補えない栄養を付加するため」という要素になります。

犬に必要な栄養基準を定めている団体の1つにAAFCO(米国飼料検査官協会)という団体がありますが、日本では水とドッグフードだけで犬の生命維持ができる栄養基準として、AAFCOの基準を採用しています。

この栄養基準を満たしたドッグフードが「総合栄養食」です。

ドッグフードの原材料を決めたり栄養設計を行う際は、一般的に食材の栄養素だけではこのAAFCOの総合栄養食基準を満たすことができず、ビタミン類、ミネラル類の添加が必須になります。

このように、逆にビタミン類、ミネラル類の添加がされていないドッグフードの場合は、犬に必要な栄養基準を満たしていない可能性が非常に高いと考えることができます。

完全無添加ドッグフードの全てが良いわけではなく、栄養バランスを満たすための栄養成分の添加は犬の健康維持の重要なファクターとなるので注意が必要です。

また、厳密にはビタミン類、ミネラル類は添加物ですが、これを添加物に含めずに「完全無添加」として販売しているメーカーも多いので、総合栄養食か否か判断するためには、裏ラベルの原材料にビタミン類、ミネラル類の記載があるか、「総合栄養食」の表記があるか確認すると良いでしょう。

一方で「フードの見た目を良くする」目的で付与されているタイプの添加物(着色料、発色材)は、本来不要な上に添加物の中でも犬の健康に危害が加わりやすい添加原料が多いので注意が必要です。

ドッグフードの品質を保つためには酸化や酸化による劣化を防止するための酸化防止剤については、不可欠であることも多く、安全なドッグフードを選ぶ際にはこうした添加物の役割をよく理解した上での判断が求められます。

管理ができない場合は「酸化防止剤」の添加が不可欠

ドッグフードの劣化は犬の下痢や嘔吐を中心とする消化器系症状を引き起こすリスクがあり、最悪の場合は食中毒にも繋がります。

大袋のドッグフードを購入する場合や、冷暗場所で密封した状態で保存できない場合は、酸化防止剤の入ったドッグフードの方が安全です。

最近では、天然の酸化防止剤を使用しているドッグフードも多いので、ドライタイプのドッグフードを選ぶ場合は、天然の酸化防止剤を使用しているものを選ぶと酸化したドッグフードで犬の健康リスクを回避できるので安心です。

添加物は「安く済ませるため」に使われるとのイメージを持たれがちですが、実際にはフードの安全性や品質の向上を目的として使用されるケースの方が一般的です。

ただし安すぎるフードは添加物もいい加減に使われている可能性があるので、飼い主が栄養や成分についての知識を持っておくことも重要になります。

ドッグフードに使用されている代表的な添加物一覧

ここからは実際にドッグフードに使用されている添加物の成分を、種類別に紹介していきます。

添加物の表記名は製品ごとにブレがあるので、一般名称だけでなく別名も確認しておくことをおすすめします。

基準値についてはの場合、AAFCO基準を採用しているものを「総合栄養食」と表記しています。安全性が十分に確認されていることにより基準値を持たない添加物も多くありますが、犬に長期間与え続けた場合のデータが不足しているケースもあることから基本的に基準値の存在しない場合はすべて「不明」と表記しています。
また基準値については分量の単位や割合が素人には非常に分かりにくいので、あくまで参考程度に捉えて病気を発症している犬に与える際には必ず獣医師のアドバイスを受けるようにしてください。

栄養補助・栄養強化剤に分類される添加物

栄養補助・栄養強化剤 添加物一覧

名称 別名 利用目的 基準値 備考
亜セレン酸ナトリウム ミネラルの一つであるセレンを補う 2ppm以下(AAFCO)、0.5ppm以下(FEDIAF) セレンは過剰でも不足しても犬の健康に影響が出るため適正量を守る必要がある。ただし各国で基準値は異なる。
アスコルビル酸 アスコルビン酸、ビタミンC ビタミンを補う 不明 犬は体内でもビタミンを生成可能だが、排出されやすいためフードで補う必要がある。
イノシトール その栄養素を補う 不明 体内でブドウ糖から生成されるがそれだけでは不十分。
MSM メチルサルフォニルメタン その栄養素を補う 不明 タンパク質、コラーゲン、ケラチンなどの生成に必要。
L‐カルニチン その栄養素を補う 不明 脂質の代謝に必要。
塩化カリウム カリウムを補う 0.6%~1.0% カリウムの塩化物。
塩化コリン コリンを補う 1,000kcalあたり340mg以上 コリンは脳機能、循環器、細胞膜の維持に必要な栄養素。
キレート銅 アミノ酸キレート化銅 アミノ酸と銅を補う 不明 犬に必須のアミノ酸と銅を結合させたもの。
グルコサミン グルコサミン塩酸塩、グルコサミン硫酸、N‐アセチルグルコサミン その栄養素を補う 不明 グルコサミンは年齢と共に体内生成量が落ちていく。
コンドロイチン コンドロイチン硫酸塩、コンドロイチン硫酸、コンドロイシンサルフェート その栄養素を補う 不明 体内のあらゆる組織に含まれる栄養素。年齢と共に減少する。
硝酸チアミン ビタミンB1、 チアミン硝酸塩 ビタミンを補う 2.25mg/kg以上 ブドウ糖からエネルギーを取り出すための栄養素。加工時に壊れやすいため添加物がよく使われる。
セレン化合物 ミネラルの一つであるセレンを補う 0.00011%以下(国内)、2ppm以下(AAFCO基準)、0.5ppm以下(FEDIAF) 亜セレン酸ナトリウムと同様にセレンを補う。アメリカ、ヨーロッパ、日本国内で基準値が異なる。
第二リン酸カルシウム リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸Ca リン酸とカルシウムを補う 不明 リン酸とカルシウムはどちらも骨と歯の健康に必須。
タウリン アミノエチルスルホン酸 その栄養素を補う 不明 体内で生成できるが必要量には満たない。
乳酸菌 その栄養素を補う 不明 腸内環境を整える微生物の総称。
パントテン酸カルシウム ビタミンB5 ビタミンを補う 12.0mg/kg以上 体内に蓄積されないため常に摂取が必要。
ビール酵母 ビールイースト、酵母 アミノ酸、ビタミンB群、ミネラルを補う 不明 ビールの発酵過程で生まれる微生物。栄養素が非常に豊富。
ビオチン ビタミンH、ビタミンB7 ビタミンを補う 不明 脂肪酸や糖の合成、皮膚や神経の維持に必要。体内に蓄積されない。
ピリドキシン塩酸塩 ビタミンB6 ビタミンを補う 1.5mg/kg以上 100以上の酵素の補酵素となる。体内に蓄積されない。
ビタミンB12 シアノコバラミン ビタミンを補う 子犬0.028、成犬0.028mg/kg以上 血を作り体内の機能と発達を維持する。体内に蓄積されない。
ビタミンD ビタミンを補う 500~3000IU/kg 骨の維持と腸内でのリンとカルシウムの濃度調整を担当する。水溶性ではなく脂溶性。
リボフラビン ビタミンB2 ビタミンを補う 5.2mg/kg以上 脂肪からエネルギーを作る役割。体内の蓄積量はごく微量なので摂取が必要。
硫酸銅 銅を補う 子犬12.4、成犬7.3mg/kg以上 犬の必須微量ミネラルの一つである銅を吸収しやすくしたもの。
硫酸鉄 硫酸鉄(II)、硫酸第一鉄 鉄を補う 子犬88、成犬40mg/kg以上 犬の必須微量ミネラルの一つである鉄を吸収しやすくしたもの。犬が必要とする鉄の量は人間よりも多い。
硫酸マンガン マンガンと硫黄を補う 子犬7.2、成犬5.0mg/kg以上 犬の必須微量元素であるマンガンを吸収しやすくしたもの。また硫酸には同じく必須微量元素の硫黄も含まれる。
リジン ヒドロキシリシン その栄養素を補う 子犬0.90%以上、成犬0.63%以上 必須アミノ酸の一つだが不足しやすい。ホルモンや酵素を作り出し、ブドウ糖を効率的にエネルギーに変換する。
レシチン ホスファチジルコリン その栄養素を補う 1日5g/kg以下 リン脂質の一つ。細胞の膜に含まれ刺激伝達に重要な役割を持つ。
葉酸 ビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸 その栄養素を補う 0.216mg/kg以上 ビタミンB12 と共に造血を行い、細胞の補修なども担当する。体内に蓄積されない。
オメガ3不飽和脂肪酸 オメガ3脂肪酸 その栄養素を補う 0.05%以上 必須脂肪酸の一つ。視力、脳機能、皮膚、関節、心臓、血管などの健康維持に役立つ。

酸化防止剤・保存料に分類される添加物

日本国内では酸化防止剤と保存料は分けて考えられますが、海外では同一カテゴリーで取り扱われています。

酸化防止剤・保存料 添加物一覧

名称 別名 利用目的 基準値 備考
アスコルビン酸 L-アスコルビン酸 、ビタミンC 酸化防止剤 不明 ブドウ糖を発酵させて作られる合成物だが、安全性は天然のビタミンCとほぼ同じ。
エトキシキン 酸化防止剤 150μg/g以下(BHA・BHTと合算) 農薬や食品への利用が禁止されている非常に毒性の強い酸化防止剤。ただし安価なため海外の安いフードには混入している可能性があるため要注意。
エリソルビン酸 イソアスコルビン酸、D-アラボアスコルビン酸 酸化防止剤 不明 化学合成物質。ビタミンCを保護する効果などがある。国内では酸化防止の目的のみに利用許可が出ている。
BHA ブチルヒドロキシアニソール 酸化防止剤 150μg/g以下(犬用はさらにエトキシキン70μg以下) 元はガソリン用に使われていた強力な酸化防止剤。基準値以下での食品利用は問題ないとされるが、大量に摂取するとガンや深刻な健康被害のリスクがある。
BHT ジブチルヒドロキシトルエン 酸化防止剤 150μg/g以下(犬用はさらにエトキシキン770μg以下) 元は石油用の強力な酸化防止剤。基準値以下での食品利用は問題ないとされるが、現在は発ガン性の疑いから人間への利用は避けられている。
没食子酸プロピル 酸化防止剤 不明 BHA、BHTよりもさらに強力とされる酸化防止剤。まだ人体や犬への影響データが少なく、人間に対しては使用量の上限を定めている。
安息香酸ナトリウム 安息香酸Na 保存料 不明 化学合成物質で、特定の条件下では危険物質のベンゼンを生み出すとされている。ベンゼンは体外に排出されにくく、ガンや白血病などの発症リスクを高める。
ソルビン酸カリウム ソルビン酸、ソルビン酸K 保存料 不明 化学合成物質。高い抗菌作用を持つが特定条件下で腸内細菌への悪影響や発ガン性物質が生まれるリスクがある。
プロピレングリコール 防腐剤、保湿剤 2g/kg 半生タイプのフードの湿度と鮮度を保つ。人間や犬に対する利用料制限が厳しく、猫には使用自体が禁止されている。
ポリリジン 保存料 不明 微生物由来の合成保存料。使用基準や制限がなく人間への安全性は非常に高いとされている。
亜硫酸ナトリウム 亜硫酸塩、亜硫酸ソーダ 肉類の防腐剤 100μg以下 胃腸への刺激の強さや発ガン性物質を生み出す可能性など、多数のリスクが報告されている。

ゲル化剤・増粘剤・膨張剤・保湿剤などに分類される添加物

ル化剤・増粘剤・膨張剤・保湿剤 添加物一覧

名称 別名 利用目的 基準値 備考
グリセリン グリセロール 増粘剤、安定剤、保存料、保湿剤、甘味料 不明 体内にも自然に存在する物質で、フードに対してはさまざまな用途で使われる。天然素材と合成物で表示の違いはない。
グリセリン脂肪酸エステル グリセリンエステル 乳化剤 不明 脂肪酸とグリセリンから生成される化学物質。高い安全制が認められており使用制限もない。
カラギーナン カラギナン、カラゲナン、カラジーナン、カラゲーナン、カラゲニン 増粘剤、安定剤、ゲル化剤 ウェットフード6g/kg、ドライフード26.4g/kg(EFSA) 海藻由来の添加物。安全性が不確実でヨーロッパでは乳児への利用禁止、アメリカでは有機食品への利用禁止の対応が取られている。
グアーガム グァー、グァルガム、グァーフラワー 増粘剤、安定剤、乳化剤 不明 「グァー」という名前の植物由来の添加物。安全性は確認されており、犬に対してもポジティブな効果が期待できるとの研究報告もある。
キサンタンガム 増粘剤、安定剤 不明 とうもろこし由来の添加物。大量に摂取すると軟便になるが適正量なら問題ないとされている。
ローカストビーンガム カロブビーンガム 増粘剤 不明 イナゴマメという植物由来の添加物。人間相手の安全性は確認されているが、犬のデータは不明。
カシアガム 増粘剤、安定剤、ゲル化剤 不明 エビスグサモドキという植物由来の添加物。人間には安全だが、犬のデータは不明。
加工デンプン 加工でん粉、加工澱粉 増粘剤、安定剤、ゲル化剤、乳化剤 不明 天然のデンプンに加工を施したもの。12種類ほどあるが細かな表示義務はない。
pH調整剤 変色防止、酸化防止剤や保存料の効果促進 不明 クエン酸やリンゴ酸から作られる。他の添加物の補助的に使用される。
膨張剤 ふくらまし粉 食品の膨張促進 不明 食品を膨らませて食感を良くする。天然素材と合成物があるが表示の違いはない。

香料・甘味料・調味料・酸味料に分類される添加物

香料・甘味料・調味料・酸味料 添加物一覧

名称 別名 利用目的 基準値 備考
還元水飴 甘味料 不明 水飴に水素を加えたもの。体内に吸収されにくいためカロリーを抑えながら甘さを増すことができる。
グリシリジン・アンモニエート グリチルリチン酸アンモニウム 甘味料 不明 ショ糖の150倍もの甘さを出せる人工甘味料。人間用食品では味噌や醤油などに利用が制限されている。
ショ糖 スクロース 甘味料 不明 砂糖の主成分となっている物質。ブドウ糖と果糖の結合によって作られる。
ソルビトール ソルビット、グルシトール 甘味料 不明 水分保持力が強く、しっとり系のフードと相性の良い甘味料。原料はじゃがいもやとうもろこし由来のデンプン。
トレハロース トレハオース 甘味料、タンパク質や脂質の変性防止 不明 じゃがいもやとうもろこしのデンプン由来の天然糖質。食品の成分変化を抑える効果もある。
L-グルタミン酸ナトリウム うま味増強 不明 味の素に代表される「うま味調味料」に含まれる成分。過剰に摂取しなければ安全性に問題はない。
5′-イノシン酸二ナトリウム うま味増強 不明 うま味調味料に含まれる成分で、L-グルタミン酸ナトリウムに少量混ぜて使う。
調味料 味を整える 不明 味を整えて犬の食欲増進を促すための添加物の総称。成分の実態が不明で、この表記のみのフードでは安全確認が取れない。
香料 香りを整える 不明 フードに香り付けをする添加物の総称。この表記のみでは安全性の確認ができない。

着色料や発色剤に分類される添加物

着色料や発色剤 添加物一覧

名称 別名 利用目的 基準値 備考
亜硝酸ナトリウム 亜硝酸Na、亜硝酸ソーダ 肉類の鮮赤色化 100ug/g以下(国内)、20ppm以下(AAFCO) 毒性が強くアミンと結合することで発ガン性物質に変化することから、利用上限が厳しく定められている。
赤色2号、3号、40号、102号、104号、105号、106号 タール色素、エリスロシン(赤色3号)、アルラレッドAC(赤色40号)、ニューコクシン(赤色102号)、ローズベンガル(赤色105号)、赤2など 食品の赤化着色 不明 コールタール(石油)由来の合成着色料で、さまざまな種類がある。食品を赤く染めるために多用されるが発ガン性やアレルギーなどの懸念も持たれており禁止している国もある。
青色1号、2号、102号  タール色素、インジゴカルミン(青色2号)、青1など 食品の青化着色 不明 コールタール由来の合成着色料で食品を青色に染めるために多用される。赤色ほどではないが発ガン性の指摘がある。
黄色4号、5号、6号 タール色素、黄4など 食品の黄色化着色 不明 コールタール由来の合成着色料で食品を黄色に染めるために多用される。タール色素の中でも特に使用率が高い。アレルギーリスクなどが報告されている。
二酸化チタン 酸化チタン、チタニア 食品の白化着色 不明 白化のための合成着色料。ほとんどの国で安全性が認められているがフランスでは発ガン性の懸念から使用が禁止されている。
カラメル色素(I・II) カラメルI、カラメルII 食品の茶色化着色 不明 砂糖やデンプンなどを熱して作られる天然着色料。茶色を加えるだけでなく独特のロースト感などの味付けにも使われる。
カラメル色素(III・IV) カラメルIII、カラメルIV 食品の茶色化着色 不明 通常のカラメル生成にアンモニア化合物を加えたものがIII、さらに亜硫酸化合物を加えたものがIVに分類される。アンモニア化合物によって発ガン性物質が生まれるとの指摘がある。
ビートレッド アカビート色素、赤ビート抽出液 食品の赤紫化着色 不明 根菜の一種「ビート」の根から抽出される天然着色料。食品を赤紫にする。
β-カロテン カロテノイド色素、カロテン色素、カロチノイド色素 食品の黄色・橙色化着色 不明 動植物由来の天然着色料。黄色や橙色への着色が主な利用目的だが、犬の体内でビタミンAの生成を助ける働きもする。

天然素材から作られた添加物

これまでの紹介と一部重複しますが、自然素材から作られるタイプの添加物のうち代表的なものを挙げていきます。

天然素材の添加物一覧

名称 別名 利用目的 基準値 備考
カラメル色素(I・II) カラメルI、カラメルII 食品の茶色化着色 不明 自然由来のカラメルに栄養はほとんどなく、フードへの色付けは主に飼い主へのアピール。ドッグフードに含まれること自体少ない。
ビートレッド アカビート色素、赤ビート抽出液 食品の赤紫化着色 不明 本来は着色料だが犬猫向けの歯磨き粉に含まれることもある。
β-カロテン カロテノイド色素、カロテン色素、カロチノイド色素 食品の黄色・橙色化着色 不明 成長期の犬に対しては抗酸化作用が期待できる。
クエン酸 酸化防止剤、調整剤 30g(1kg中) 一般的には疲労回復や酸味の付与に使われるが、ドッグフードには酸化防止の目的で含まれることが多い。
クローブ 香料 不明 主にフードの香り付けに使われるが、犬用の口臭・歯石予防スプレーに使われる場合もある。
スペアミントエキス スペアミント精油 香料 不明 ペパーミントと同じミント科由来の天然香料。ペパーミントのような刺激が少なくリラックス効果が強い。
トコフェロール α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール 酸化防止剤 不明 ビタミンEを構成する複数のトコフェロールの総称。安全性が高い一方効果は合成の酸化防止剤よりも弱い。
ミックストコフェロール ビタミンE 酸化防止剤 不明 数種のトコフェロールを混ぜ合わせビタミンEとしたもの。適量範囲内であれば安全性が高く、特に犬はビタミンEの許容量が多い。
緑茶エキス 緑茶抽出物 酸化防止剤 不明 主な成分はカテキン。犬に対しては歯周病や関節症への効果が期待されるが、空腹時に与えると毒性を持つとの報告があり注意が必要。またカフェインは犬には非常に有害なので、添加物になっていない茶製品を与えてはならない。
ローズマリー抽出物 酸化防止剤 不明 自然由来の酸化防止剤の中では非常に高い効果を持つ。無味無臭で熱にも強く高級ドッグフードへの採用が多い。ただし、てんかん持ちの犬はアレルギーを起こす恐れがある。

ここで紹介した添加物の一覧はあくまで簡易的なものです。
科学的にも法律的にも実際にはさらに複雑な内容となっているので、詳しくは専門家の意見を仰ぐようにしてください。

日本で販売されるペットフードの添加物表示義務と注意点

日本の「ペットフード安全法」はフードの製造時に使用した添加物を原材料の一種として表示することを義務付けています。

しかし他の原材料にすでに含まれていた添加物の表示までは義務付けていない点に注意が必要です。

たとえば加工品の塩分や着色料などが添加されたトマトを原材料の1つに使用した場合、「トマト」と表記する義務はありますがトマト原料に含まれる塩分や着色料の使用を記載するかどうかは製造者次第となっています。

ペットフード安全法が表示を定める項目は以下の5つです。

  • 名称
  • 賞味期限
  • 原材料名
  • 原産国名
  • 事業者名及び住所

ドッグフードの安全性をチェックする際は原材料名だけでなく賞味期限と原産国名もしっかり確認しておきましょう。

ペットフードの安全基準は国によって異なるので、原産国名を見ることで危険な添加物が混ざっている可能性を把握することができるようになります。
ペットフードの安全基準が日本よりも厳しい国はいくつもあります。
単純に国産にこだわるだけでなく、不安の残る添加物が使われていないかを慎重に確認しておきましょう。

特に危険性が高いとされている添加物とは?

日本国内で販売されているドッグフードに関しては「ペットフード安全法」に基づいて、危険性の高い添加物は避けるように指導が行われています。

しかし輸入品のドッグフードの中には国内基準に合致しないタイプの添加物が使われたまま、流通している製品もあるので気をつけましょう。

また国内の認可を受けたドッグフードであっても、海外のさらに厳しい基準に照らし合わせると安全性に疑問が残るタイプの製品も存在します。

現在は安全とされている着色料・保存料・甘味料などであっても、今後の研究によっては危険性が確認されることもあるでしょう。

そのためドッグフード選びの際には国内・海外の基準両方をチェックした上で、なるべく栄養に不必要な添加物が使われていないものを探しましょう。

実際に使用制限を受けている添加物について

具体的にドッグフードへの使用制限が存在する添加物には以下のようなものがあります。

【抗菌剤・抗生物質】

ペットフード安全法では「飼料添加物として指定されている抗菌剤・抗生物質」をペットフードに使用することを禁止しています。

家畜用の飼料に使われる抗菌剤・抗生物質は発育を効率化させたあと最終的な出荷段階で残留しないように調整しているもので、健康や長寿を目的とした添加物ではありません。

ちなみに海外では飼料とペットフードを分けていませんが、飼料用の抗菌剤・抗生物質をペットフードに混ぜることは同じく禁止されています。

【酸化防止剤の一部】

酸化防止剤はドッグフードの劣化を防ぐ重要な添加物です。

ただし「エキトキシンBHABHT」といった強力すぎる酸化防止剤は健康被害が大きいとして、各国で規制の対象となっています。

強力な酸化防止剤ほど賞味期限が長く、逆に天然由来の安全性の高い酸化防止剤ほど賞味期限は短くなる傾向があります。

海外輸入のドッグフードに極端に賞味期限の長い製品があったら、危険な酸化防止剤の利用を警戒した方がいいでしょう。

また日本では「酸化防止剤」と「保存料」を別カテゴリーに分類していますが、海外では両者を区別しないのが一般的です。

海外の情報を誤解して日本の酸化防止剤もすべて危険と考えるのは誤りなので注意しましょう。

【亜硝酸ナトリウム】

亜硝酸ナトリウムは発ガン性などの健康への悪影響が強く疑われる添加物の一つです。

使用量に厳しい制限を課した上で着色料として認可されていますが、現在ほとんどのペットフード会社では使用そのものを避ける状況になっています。

亜硝酸ナトリウムによる効果は赤く鮮やかな肉色を再現できることですが、犬にとってフードの色はまったく重要ではありません。

【プロピレングリコール】

プロピレングリコールは半生フードの瑞々しさを長期間保つための防腐・保湿剤です。

人間の食品を含めて幅広く使用されている添加物ですが、適正量を超えると体内の水分を奪って腸内活動を悪化させるといった健康被害を引き起こすリスクも指摘されています。

ペットへの危険性はさらに大きく、猫に与えた際には血液中の赤血球が破壊されるとの報告があることからキャットフードへの使用は全面的に禁止されています。

犬への健康被害報告はないためドッグフードへの規制はありませんが、不安を感じるなら避けた方がよいでしょう。

【セレン化合物】

セレン化合物は国内と海外(AAFCO・FEDIAF)で取り扱い基準が異なる添加物です。

海外では飼料添加物として基準値を定めた上で承認されていましたが、国内では劇物に相当するとして輸入規制の対象になったこともあります。

国内での流通が容認された現在も基準値は「亜セレン酸ナトリウム0.00011%以下、セレン酸ナトリウム0.00012%以下」と厳格に定められています。

これは海外の基準値とも異なる指標なので、基本的にセレン化合物が使用されている海外産ドッグフードは利用するべきではないと考えておいた方がいいでしょう。

また、国内で製造する場合には現在もセレン化合物の使用は許可されていません。

抗生剤・農薬類・発ガン性の高い着色料などはペットフードへの利用が厳しく制限されています。ただしタール色素系の着色料のように国内よりも海外で利用制限が厳しい添加物もあるので、安全性を確認する際は各国の基準を比較しながら調べておくのが無難です。

ドッグフードに使われる添加物についてのよくある質問

ドッグフードの添加物はアレルギーの原因になりますか?

アレルギーを引き起こす原因には遺伝的要因の他に花粉・ハウスダスト・ノミやダニといったさまざまなものがあります。 食物アレルギーに関しては、アレルゲン(食物アレルギーの原因物質)には個体差が大きいため一概に添加物がアレルギーの原因になるとはいえません。 ただし統計的に犬がアレルギー反応を起こしやすいとされる化学合成物質が使われている添加物は避けた方が安全なのは確かです。 また複数の添加物が使用されているドッグフードでアレルギーが起きた場合、何が原因物質なのかを突き止めるのが難しくなるという問題もあります。 原材料と添加物の種類をしっかり把握しておけば万が一アレルギー症状が起きた際にもすぐに獣医師に説明をして適切な処置を受けることができるので、なるべくシンプルなドッグフードを使った方がアレルギー対策を講じやすいともいえるでしょう。

半生のドッグフードには特に添加物が多いと聞いたのですが?

半生に分類されるセミモイストフードやソフトドライフードは、ドライフードよりも傷みやすく味と鮮度を保つことも難しくなっています。 そのため酸化防止剤や湿潤調整剤がよく使われることは事実です。 しかし賞味期限の調整によって添加物の使用を極力控えたタイプの半生フードも販売されているので、半生だからといって必ずしも添加物が多いとは限りません。 結局はフードのタイプよりも成分確認と賞味期限内に使い切ることの方が重要なので、過度に添加物を恐れて半生フードを控える必要はないでしょう。

BHA(ブチルヒドロキシアニソール)に発ガン性があるのは本当ですか?

BHA・BHT・エトキシキンは元々は石油製品向けの酸化防止剤として利用されていたことからも分かる通り、添加物の中では特に強力な効果を持っています。 各国の基準に沿った適性な利用範囲内であれば安全とされていますが、発ガン性が強く疑われることから現在は基本的に食品への利用は推奨されていません。 同じ酸化防止剤というカテゴリーであっても種類ごとに発ガン性をはじめとした健康への影響度は異なるので、細かな成分までしっかりチェックすることが大切になります。

ドッグフードの添加物はすべて成分表に書かれていますか?

ペットフード安全法によって国内製造のペットフードには添加物を含む原材料をすべて表示する義務があります。 ただし「原材料に元々使われていた添加物」までは表示の義務がないので、成分表だけですべての添加物を把握することはできません。 とはいえ信頼性の高いメーカーが販売するドッグフードはその不安を考慮して原材料に使われる添加物まで記載しています。 ドッグフード選びの際には、表示義務のない成分まで誠実に記載しているかどうかも判断材料とするようにしましょう。

子犬に添加物の入ったドッグフードを与えても大丈夫?

まだ体の小さな子犬は添加物による影響を成犬よりも大きく受ける可能性があります。 そのため添加物が含まれているドッグフードを与える際は「子犬用」として専用に調整されている製品を選ぶことが大切です。 また事前にアレルギー診断を受けておき、最初からその犬にとって危険な添加物を避けられるように備えておくことも忘れないようにしましょう。 逆に最初から無添加にこだわりすぎると他のフードを食べられなくなってしまうこともあるので、安全に配慮しながらさまざまなフードを試しておくことも意識してみてください。

ドッグフード選びはまず獣医師や専門機関の説明をしっかり聞いて、自分の先入観や不安を愛犬に押し付けないように正しい知識に基づいて進めるようにしましょう。

ドッグフードは添加物を正しく理解した上で選ぼう

添加物はドッグフードの栄養バランスや酸化防止などの役割を果たしています。

ドッグフードに添加物が含まれているからといって、それ自体が問題になることはほとんどありません。

ただし以下の点には注意しておくようにしましょう。

  • 各国で利用制限を受けている添加物の存在を把握しておく
  • 愛犬の体質を調べて相性の悪い添加物は避ける
  • 飼い主の主観ではなく愛犬第一でフード選びをする
添加物には栄養補助や品質維持といった必要不可欠なものから、犬の健康に影響しやすい着色料や発色剤のように単に商品としての見映えのために使われているものまで、さまざまな種類があります。

飼い主から見て「何となく美味しそう・健康に良さそう」に見えるドッグフードが実際に愛犬にとって良いフードとは限らないので、添加物と愛犬の相性をよく考えてドッグフード選びを行うようにしましょう。

添加物自体が問題なのではなく、大切なのは愛犬の個性に合ったドッグフードをきちんと選ぶことになります。獣医師の診察を受けて愛犬の体質を把握しておけば自然と正しいドッグフード選びができるようになるので、まずは専門家への相談を怠らないようにしてください。
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