ドッグフードに使われていることがあるという「4Dミート」。
なんとなくネガティブなイメージを持っているけど、そもそもどんなミートのことなのかわからない。
あるいは、4Dミートを使われていないドッグフードを確実に選びたい。
そんな思いを持っている愛犬家も多いですよね。
そこでここでは、4Dミートの定義や危険性、4Dミートを含むフードの見分け方、さらには、高品質で安全なドッグフードを選ぶコツなどを紹介しています。
「4Dミート」ってなに?正体を正しく知ろう
4Dミートについて、知っておくべき基礎知識を以下にまとめました。
4つの「D」の正体とは
4Dミートは、4つの「D」から始まる状態に当てはまる動物から得られた肉を意味します。
具体的な4つのDを示したのが以下です。
- Dead(死亡した): 食肉用以外の理由で死んだ動物の肉。
- Dying(瀕死の): 食肉処理の過程で瀕死状態にある動物の肉。
- Diseased(病気の): 病気にかかっている動物の肉。
- Disabled(障害のある): 障害やけがを持っている動物の肉。
4つのいずれかに該当する動物の肉は、4Dミートと呼ばれます。
ちなみに、4Dミートは、食肉、要は人が食べるのに適さないとされています。
一方で、4Dミートは、ドッグフードなどには含まれていることがよくあります。
原材料名には記載しない?
食肉用に使われることはないものの、ドッグフードにはたびたび使われることがある「4Dミート」。
正直4つのDに該当する内容を見て、気持ち悪い、愛犬にできれば食べさせたくないと感じた人も多いと思います。
ただ、ドッグフードに4Dミートが使われているかどうかを簡単に確認するすべは現状ありません。
原材料名を見てわかれば良いですが、該当する肉が入っていたとしても「4Dミート」という名が使われることは基本的にありません。
4Dミートの代わりによく使われるのは、「肉副産物」や「ミート(ミートミール、ミートボーンミール、チキンミール、家禽ミール、ポークミールなど)」あるいは「動物性たんぱく質」などの表記。
原材料名における4Dミートの存在は、あいまいにしか表記されていないことがほとんどです。
一方で、これらあいまいな表記があるからと言って、そのドッグフードに4Dミートが使われているとも限りません。
基本的に4Dミートの表記に関する細かな規制がない日本国内において、原材料名をから直接、そのドッグフードに4Dミートが使われているかを知ることはできないです。
なぜ4Dミートを使うの?その切実な理由
4つのDが意味するところや、食肉用に使えないところからも、4Dミートに対してネガティブなイメージを抱いている人は多いです。
ただ、それでも4Dミートが使われているドッグフードは世の中に数多く存在します。
このようにネガティブなイメージがある4Dミートがドッグフードなどに頻繁に使われている理由は、コスト削減です。
食肉用として使えない4Dミートは、通常の肉よりはるかに安値で手に入れやすいところが魅力です。
原材料として使う肉の仕入れ価格をおさえられれば、その分だけドッグフードを作るコストをおさえられます。
消費者により安くドッグフードを提供することを目的に、4Dミートが使われていることがあります。
一方で、この4Dミートを使うことによるコスト削減が、大切な家族である愛犬の健康にどのような影響を与えるかは慎重に判断する必要があります。
もちろん、市販されているドッグフードには基本、安全性が保証されている原材料しか使われていません。
実際、4Dミートが犬などのペットや価値肉にとって有害であると、明確に示されたことはありません。
4Dミートを避けたい!見分ける方法は?
前述したとおり、4Dミートが使われているからと言って原材料に「4Dミート」と書かれていることはまずありません。
ただ、4Dミートが使われているドッグフードを避けたい場合、原材料をチェックする以外に見分けるすべはありません。
具体的には、以下のポイントをチェックすると、4Dミートを避けられる可能性が高いです。
- 具体的な原材料の記載があるものを選ぶ:「ミート」「動物性タンパク質」といった曖昧な表現ではなく、「チキン」「ビーフ」など具体的な肉の種類が記載されていると安心です。
- 信頼できるメーカーの商品を選ぶ:製品の品質や製造過程について、透明性のある情報を提供しているメーカーの商品を選ぶのも有用です。
- 第三者機関の認証の有無をチェックする: 第三者機関による品質認証を受けている製品は、より安全である可能性が高いです。
これら3つのポイントをおさえたからといって、確実に4Dミートを避けられるとは限りません。
「レンダリング」って何?4Dミートとの関係を解説
「レンタリング」というのは、食用に使えないくず肉や脂肪、内臓、骨などの肉副産物から動物性油脂を精製する工程を意味する畜産用語です。
レンタリングで作られた質の良い油脂は、ラードや牛脂に加工されるほか、マーガリンやショートニングなどの原料として食用利用されています。
そのほか、化粧品や医薬品のコラーゲンや、グミやゼリーの原料となるゼラチンも、工業用として石鹸やゴムの添加物を作る際にもレンタリングはよく活用されています。
一方で、レンタリングで油脂を搾り取った残りが、「ミール」です。
ミールは、ドッグフードの原料などによく使われます。
ただ、そもそもレンタリングの原料には、屠畜以外で死亡した家畜の死体が使われることも少なくありません。
つまり、レンタリングでできあがったミールに、4Dミートが含まれている可能性があります。
「家禽ミール」と「ミートミール」
レンタリングの後に出来上がる、肉類を乾燥させて粉状にしたもののことを「ミール」と呼びます。
そして、ドッグフードの成分表でよく見かけるミールと言えば、「家禽ミール」と「ミートミール」です。
名の通りどちらも「ミール」の一種に分類されるものの、詳細が異なります。
- 家禽ミール: 鶏や七面鳥などの家禽類の肉、骨、皮を含む部分を加熱・乾燥させたものを意味します。ただし、一般的に羽毛、頭、脚および内臓は含まれません。高温処理によって水分が取り除かれ、栄養価が濃縮されているのがメリットですが、具体的な肉の部位や品質は明確ではないことが多い点には注意が必要です。
- ミートミール: 異なる種類の動物(牛、豚など)の肉、骨、内臓などを混ぜ合わせたものを加熱処理したもののことです。どの動物が使われているかが不明瞭で、4Dミートが含まれている可能性もあります。ただ、血液、毛、蹄(ひづめ)、角、皮、糞尿、胃および第一胃の内容物を含まれないとされています。
家禽ミールもミートミールも、安く栄養価のある原材料であることを理由に、ドッグフードの原材料としてよく利用されています。
ただ、家禽ミールもミートミールも、それ自体が必ずしも悪いわけではありません。
これは、ミールと一口に言っても、それ自体の品質のばらつきが大きいためです。
「ミール」の全てが4Dミートではない
「ミール」すべてが、4Dミートを含んでいるわけではありません。
原料となる肉の種類や処理方法によって、できあがるミールの品質もさまざまです。
ミールの中には、高品質なものもたくさん存在します。
信頼のおける原料供給元から健康な動物の肉を仕入れ、それをレンタリングして作ったミールもあります。
これらミールを使ったドッグフードは、栄養価が高く、品質を不安視する必要もありません。
メリット・デメリットとは?「ミール」のこと
「ミール」には、メリットあればデメリットもあります。
以下に、ミールのメリット・デメリットをまとめました。
メリット:
- 栄養価が高い:ミールは水分を除去しているため、肉そのものよりも栄養素が濃縮されています。たとえば、タンパク質の含有量が高く、ペットの健康をサポートする栄養素を多く含んでいることもあります。
- 保存性が高い:乾燥しているミールは、長期間保存することができます。ミール使用のドッグフードであれば、長くフレッシュな状態に保ちやすい傾向にあります。
デメリット:
- 品質が不明瞭:詳細が明示されていない、どの動物のどの部分の肉が使われているか分からないミールが多いです。特に、4Dミートが含まれている可能性があると、ペットの健康に対するリスクが高まります。
- 加工の影響: 高温での処理過程で、栄養素が損なわれることがあります。特に、熱に弱いビタミンや酵素は失われやすいため、ペットにとって重要な栄養素が失われている可能性があります。
メリットだけでなく、デメリットを知り、納得したうえで選ぶことが大切です。
4Dミートやミールが「よくない」「危険」と言われる理由とは?
4Dミートやミールは、たびたび「よくない」あるいは「危険」と言われています。
そして、4Dが意味する言葉のイメージだけでなく、4Dミートやミールにはさまざまなリスクがあるのも事実です。
たとえば、4Dミートは、病気や障害、死因が不明な動物の肉のことです。
細菌やウイルス、病院の原因物質が肉に残存していた場合、それを食べたことが健康被害を引き起こすこともありえます。
また、4Dミートやミールの多くは、どの動物に由来しているか表記されることがありません。
さまざまな動物が混ざっていることも多いです。
アレルギー反応や消化不良を、新鮮なお肉より起こしやすい点にも注意が必要です。
さらに、レンタリングの過程で使われる高温処理により、栄養価が低下していることも少なくありません。
それゆえに、4Dミール不使用のドッグフードを選んだほうが良いとされています。
日本では、そもそも出回らない?
日本国内に、4Dミールの「表記」に関する規定はありません。
ただ、ドッグフード自体にはさまざまな規制が設けられています。
その基準を踏まえると、国産ドッグフードに4Dミールが使われることはまずないと言われています。
また、輸入された海外産のドッグフードに対しても、国内に持ち込まれるタイミングで厳しい検査が行われています。
ただ、すべての製品が厳格に管理されているわけではありません。
特に、安価な製品は品質の詳細が不明瞭なものが多いです。
生肉・生魚の栄養素と4Dミート・ミールの栄養素の違い
犬はそもそも、限りなく肉食に近い雑食です。
生肉や生魚には、そんな豊富なたんぱく質を必要とするワンちゃんの健康を保つのに必要な栄養素がたっぷり含まれています。
タンパク質のほか、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどがバランスよく含まれていることが多く、良質な生肉や生魚は犬の体調維持に良い効果をもたらしてくれることが多いです。
一方で、同じ肉であっても4Dミートやミールは、加工の過程で本来含まれていて栄養素が失われていることがあります。
高温での処理を行っている場合、ビタミン類や酵素はそのタイミングで破壊されてしまうのが一般的です。
また、詳細が不明瞭な4Dミートは、どのようなバランスで栄養素が含まれているかもわかりません。
良いフードの前提条件!チェックすべきポイント
愛犬に長く健康でいてもらうためには、良いドッグフードを選ぶことが重要です。
ただ、良いドッグフードを選ぶには、原材料の品質や安全性を見極められる目を私たち自身が養う必要があります。
以下で、良質なドッグフードを選ぶために知っておくべきポイントを紹介しています。
ドッグフードの原材料
犬が健康を維持するのに必要な栄養素を網羅したドッグフードには、さまざまな原材料が使われています。
肉や魚、野菜、穀物などが使われていることが多いです。
ただ、中には、愛犬の健康に良くない影響を与える可能性がある4Dミートなどの劣悪な原材料が使われているものも残念ながら存在します。
特にミートについては、どの動物のどの部位が使われているかなど、詳細が書かれているものを選ぶのが安心です。
原材料の調べ方は?
ドッグフードの原材料は、パッケージに記載されていることが多いです。
パッケージ上の成分表から、ドッグフードに使われているすべての原材料がわかります。
ただ、不明瞭な書き方がされていることも多いです。
「家禽ミール」や「動物性脂肪」などは、ドッグフードの原材料名によく使われる一般的な表記です。
一方で、これら表記から、どの動物のどの部位が使われているかを読み取ることはできません。
また、未購入、あるいは通販での購入を予定していてパッケージを見られない場合については、公式HPで原材料名や使われている原料の詳細を確認できることもあります。
原材料名の表示ルール
ドッグフードの原材料名には、表示ルールが設けられています。
添加物を含めたすべての原材料の記載が必要で、一般的に使われている量が多い順に書かれています。
ただ、表記方法はビーフや小麦のような個別名だけでなく、穀物や肉類のような分類名でもOKです。
その結果、具体的な表記がされていない原材料については、品質をそこから判断することはできなくなっています。
特に「肉類」や「家禽類」などのあいまいな表現が使われている場合、4Dミートが含まれている可能性も否定できません。
レンダリングの材料
レンタリングで作られる、肉類を乾燥した粉末状のもののことを「ミール」と言います。
ミールは、ドッグフードによく使われる原材料名で、基本的には安全です。
ただ、中には4Dミートが含まれたミールが使われている可能性があります。
悪い油脂にも要注意
ミールとともに注意が必要なのが、ドッグフードに使われている油脂です。
詳細が明記されていない「動物性脂肪」や「動物性油脂」は、4Dミートから抽出されたものである可能性があるためです。
4Dミートから抽出された油脂の中には質が悪く、愛犬に不調を引き起こす可能性があるものが潜んでいることがあります。
そのほか注意が必要な材料
注意が必要なのは、4Dミートから作られたミールや油脂だけではありません。
人工保存料や着色料、合成香料などの人工添加物にも注意が必要です。
市販されているドッグフードに使われている添加物はすべて、安全性が保証されたものを少量だけ使っているものがほとんどです。
ただ、少量であってもその蓄積が、愛犬の健康を害するリスクはゼロではありません。
かたくなに無添加にこだわる必要はないものの、人口添加物は積極的に摂取すべき成分ではありません。
良質なフードの選び方のまとめ
愛犬の健康を守るためには、日々口にするドッグフードを質の良いものを選ぶ必要があります
良質なフードを見極めるポイントはいくつかありますが、まず着目すべきは「原材料」です。
パッケージに書かれた原材料名に、不明瞭なものが含まれていないかをまずは確認しましょう。
また、購入を検討しているドッグフードの公式HPをチェックするのも有用です。
信頼できるメーカーなのか、またどこまでこだわりを持って作っているのかなど、そのドッグフードの詳細を知ることができるためです。
よくある質問(Q&A)
以下に、ドッグフードの4Dミートに関するよくある質問をまとめました。
4Dミートドッグフードのまとめ
「4Dミート」は、死亡した(Dead)、あるいは瀕死状態(Dying)、病気(Diseased)、障害のある(Disabled)動物から取れた肉を意味します。
これら肉は人の食用には不適とされているものの、主にコスト削減を目的にドッグフードの原料として使われることがあります。
しかも、日本国内に流通しているドッグフードに万が一4Dミートが使われていたとしても、そう表記されることはほぼありません。
パッケージには、「肉副産物」や「ミートミール」といった曖昧な表現で記載されるのが一般的です。
4Dミートが必ずしも有害であるとは証明されていないものの、アレルギーや消化不良、栄養価の低下といったリスクが指摘されています。
日本国内では厳しい検査が行われており、4Dミートが使用されたドッグフードが市場に出回る可能性は低いです。
ただ、出回る可能性はゼロではありません。